野村潤一郎 オフィシャルブログ

DRAGON



大昔の西洋人が旧大陸の探検中
恐らくは突然出現したであろう
オオトカゲを目の当たりにした瞬間の
驚愕の表情は想像するに容易い。

本能の指令系統は
生命存続優先のパルスを全身に緊急発信し
知性の回路は遮断され、
進化における系統発生が逆行したが如き
激しい興奮に包まれたクルーの様相は
例外なくサルのそれに近かったに違いない。

特に巨大なバラヌス属が空中の化学物質を
嗅神経の密集した口腔内に取り込むための行動
すなわち“二つに割れた舌先チョロチョロ”は
火を噴くドラゴン伝説の元になるのに十分な
インパクトだったはずだ。

生まれて間もない人類の文明は
未開の密林の漆黒の闇の中で
ほのかに光るろうそくの灯火程度の威力しか
有していなかったのだから無理もない。

先人たちの自然圏に対する畏敬の念と
未知の存在に対する恐怖心は大きく深く
人間もまた地球生命体の一種に過ぎなかった。

やがて人間圏は自然圏との
独立戦争に打ち勝つことになる。

そして現代。
今ここで文明の胎児となった人類が
その不透明な羊膜越しに
再びバラヌスを見つめている。

机上のみで既存の知識を学習した彼らの眼球と脳髄は“点の知識”に埋没し
自然圏の理(ことわり)と真理を目撃するための
“面を捉える能力”は希薄となった。

生命は理論となり
精霊は現象に交代し
そしてドラゴンは炎を失った。

★写真説明

毎度お馴染み
サルファ・オオトカゲの“トラ”です。
十数年前には手のひらサイズだった彼女も
7キロを超えました。
まだまだ成長は続く感じです。