野村潤一郎 オフィシャルブログ

古い道具であそびましょ。

MRIだの半導体レーザーだのと

最先端医療機械を操作する日々。

便利な機械であることは間違いないのですが

それに頼ってばかりいると

なんだか自身の感覚が衰えて

視野が狭くなってしまう気がしちゃうんですよ。

 

そもそも便利な機械は医者の診断が正しいかどうか

“確め算”のために使用するべきなんです。

何も当てのない無の状態から機械を使って

病気を探し出そうとすると

動物たちを検査漬けの暴力にさらすだけでなく

かえって誤診しやすいし、

飼い主さんが無駄に散財します。

 

僕は二十年前に「癌患者には特有のにおいがある」と

学会で発表してバカ扱いされたことがありますが

患者の全体的な状態を感知する能力があってこそ

最新医療のテクノロジーが生きると思うんです。

 

つまりピントはずれの検査で出た数字だけでは

動物を苦しめている病気の正体はわかりません。

地球の生命体はすべてアナログですからね。

それを感じる感情を持たないと。

それには現実世界で様々な経験をしないと。

 

007の戦い方だって最終的には

上半身ハダカで敵のポスとの殴り合いになるでしょ。

平和を勝ち取るにはボタンをピコピコ

押してばかりいてはダメということですね。

 

という前ふりの後に

自分の好みを正当化するようで

申し訳ないんですが

今や時代遅れの恐竜のようなスーパーカーや

ぜんまい仕掛けの腕時計、

フイルムを巻き上げながら撮る写真機などに

心の安らぎを求めてしまう僕は昭和のオトコです。

rollei

これは四十年前につくられた写真機です。

電池は使いません、全て手動です。

猫が踏んでも写りません。

その場の光を感じ勘でダイヤルを調整します。

しかもたったの十二枚しか撮れません。

感覚を研ぎ澄ます訓練になります。

慣れれば思った通りのオリジナルの絵をつくれます。

kilei

この時、僕はこんな気持ちでしたから

こんな写真が撮れました。

とってもきれいで透明感のあるお花。

いつまでも見つめていたかったから

「かつて・そこに・あった」を記録しました。

1303OSCAR

オスカーが不思議そうに見ています。

逆光で顔が良く見えませんが

暗い場所は暗くていいでしょう。

電気をつけた明るい部屋でパンツを脱いだら

それは肛門科の診察室ですよ。

hayatakamera

昭和のおじさんがいるカメラ屋さん。

僕はここに限らず

どのお店に入るときでも

「こんにちは!」とちゃんと挨拶します、

だってお互い心があるんですから

どんな時でも礼儀をわきまえないと。

人の家に何も言わずに出入りするのは

ドロボウと幽霊でしよ。

気持ちの良いお付き合いって

とっても素敵ですね。

akasaka

仕事が早く終わった日は愛車の朱雀号を駆り、

赤坂でサイフォンのコーヒーを頂きます。

綺麗な椅子に座らせてもらうわけですから

二十分に一度は注文を入れて

売り上げに協力いたします。

隣でタバコを吸う人がいても文句は言いません。

それぞれの人が疲れを癒しに来ているのです、

細かいことで目くじら立てるなんて

よけいに健康に悪いですよ。

 

不退転戦鬼の獣医外科医の私が

皆さんが望んでいる闘う機械ではなくなって

本来の自分に戻ったりなんかして。

やはりアナログで原始的な道具の

効能効果は絶大であるということですね。

 

おさらい

①考えるな、感じろ。

②動物を痛くするな。

③暗くても文句を言わない。

④お店に入るときは挨拶をする。

⑤喫茶店ではお金を使うこと。

 

本日の皆さんの暇つぶし

お相手は野村潤一郎でした。

 

撮影DATA

Rolleiflex 3.5F

fuji PROVIA ASA400